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ぶどう栽培を始めて半年になりました。 今年の高知は観測史上最も早い梅雨が、すでに2か月以上が継続しています。 

正直、梅雨入り前から、またこの想定外に長い梅雨に入ってからもかなりたくさんの失敗をしています。 その失敗も今後色々触れていきますので、お楽しみ(?)に。 

「失敗って?ちゃんとやってるのか!?」とお叱りをいただきそうですが、 私が目指しているワインづくりについて改めてご説明させていただきます。 

私の目指すワインづくり-テロワールの追求- 

私はぶどうを化学農薬・化学肥料を使わず育てることにチャレンジしています(そのようなスタイルのブドウ栽培に、この長雨は非常にこたえます。。。) 

その理由は、高知の気候・風土、そして私の畑なりのテロワールを大事にしたいと考えているからです。 

テロワールとは、農作物に影響を与える気候・土壌・地形そして周囲に育成している他の植物などの「生育環境」のことです。このテロワールがぶどう、そしてワインの個性を生み出すのです。 

そして、テロワールを追求するためには、できるだけ自然農法に近い形が望ましいと私は考えています。 (有機農法とは異なります。)

なぜなら、自然農法は、個々の畑に固有の土、そこに自然と生えてくる草木、そしてそれらに集まる多種多様な昆虫などの小動物や微生物に力を借りる農法であり、高知、そして私の畑の「個性」を最大限に引き出す最適なアプローチだと、私は考えているからです。 

しかし、だからと言って「化学農薬を使った農法」を私は否定している訳ではありません。人間の食べ物作りの基本はこれしかないとさえ思っています。 

というのも、一般的に品種改良を重ねた美味しい品種は病害虫に弱く、また美味しく作るためはたっぷりとした肥料を必要とし、それは雑草にとっても非常に好ましい環境となります。病害虫や雑草に弱い農作物の「収量と品質を維持・確保したり、農作業の負担を減らすため」には、化学農薬は必要不可欠だと私は考えています。 

例えば、皆さんがぶどうを聞いたときに思い描く、 綺麗な房や形状のぶどうには化学農薬がそれなりに使われていることがほとんどです。そのように、化学農薬の力を借りることで、農家ごとの畑や、場合によっては産地といった条件に大きく影響されずに、一定の品質の作物を経済的に得ることが可能となるのです。 

これは、一定品質の農作物を安価に入手できることにもつながり、一般消費者のみならず飲食店や食品加工業者にとっても大きなメリットです。 

改めて言いますが、食糧の安定供給、そしての農家の作業負担の軽減・経営の安定につながる化学農薬を否定するつもりは私にはありません。 

一方で、化学農薬を使って均一的に育てられたぶどうでは、その土地の風土や土壌を反映したテロワールを出すのが難しくなり、均一的な味となってしまいがちです。 

そしてそのぶどうから作られたワインでは、「私が作るからこそ」の特徴を出すのは難しいと考えています。( ※ぶどうからワインになるとき、そのぶどうの甘さは殆どがアルコールに変わってしまうため、 甘さ以外のぶどうの特徴がワインの特徴になるためです。) 

だからこそ、私はテロワールの追求のために、化学農薬・化学肥料を使わないぶどう栽培にチャレンジしているのです 

テロワール追求のための自然農法への挑戦 

化学農薬・化学肥料の力を借りず、どのように採算の取れるぶどう栽培・ワインづくりを成立させるのか? 

その答えは、化学農薬・化学肥料の代わりに、土、そこで生えてくる草木、そこに集まる多種多様な生物や微生物に力を借りることにあります。 

少し宗教的に聞こえるかも知れませんがが、これは自然農法と言われ、有名な人では 「わら一本の革命」の福岡正信さんや「奇跡のりんご」の木村秋則さん等がいらっしゃいます。 

これは有機栽培ではありません。有機栽培は、化学肥料⇒有機肥料、化学農薬⇒有機農薬に変えただけで、程度の差こそあれ、やはり違うテロワールになると私は考えています。 

自然農法は簡単に言えば、「不耕起・無肥料・無農薬」です。 

その考え方の起点は「山や雑木林では不耕起・無肥料・無農薬なのに、なぜ沢山の植物が育つのか」という素朴な疑問にあります。 ぶどうも元々は自生していたものを人間が食用に育てているだけで、昔は他の生物と調和を取っていたはずです。 

「不耕起・無肥料・無農薬」を目指しているとはいえ、私も石灰や酢酸などの有機系の農薬は使います。 

しかし、わずかな有機肥料のみに頼った自然農法に近い形でのぶどう栽培を何百、何千、何万ヘクタールもある畑で実現するのは、品質が安定しないため、かなり難しいと私は考えています。私のような小さな規模のワイナリーだから挑戦できるのです。 

また自然農法を突き詰めていくと、仙人のような暮らしになります(笑)※詳しくは「わら一本の革命」などをご参考下さい。 

ぶどうの特性や地域の特性、私の栽培技術によっては必要最低限の化学的、有機的な栽培も取り入れていきます。 

ただ土地のテロワールを表現するためにも、可能な限り自然農法を目指していきます。 

現在取り組んでいるやり方としては 

・早生栽培 

・雨除け屋根 

・種なし処理を行わない 

・無施肥 

・不耕起 

・化学農薬不使用 

などです。 

既に↑の取組で痛い目を見ているので、またそれは後日。 

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