Blog

ブログ

「1週間以上の長雨となる予報です。」と天気予報で最初言われた時も、「まあと言っても結局は晴れ間もあるだろう」と高を括っていました。

雨はぶどうの敵です。雨が降るとブドウの中にも水が入ってしまい、水っぽくなってしまい、糖度などが下がります。また玉割れ・裂果といって、水分が多くなりすぎてぶどうの粒が割れてしまうことも多く、これでぶどうがダメになってしまうことも多いです。また雨が降っているときに収穫するとぶどうにカビが生えやすく、常識的にやってはいけない行為です。

うちのぶどうは、藤稔・サマークイーン・雄宝が主な品種です。中でも藤稔は「裂果しやすい」で有名な品種と聞いており、かなりビビッていました。

藤稔は既に収穫期を迎えており、今日にでも全て取ってしまいたい気持ちですが、仕方ありません。晴れ間が出そうならそこで一気に取ってしまおう、そう考えていました。

1日経ち、2日経ち、天気とにらめっこしていますが、良くなる気配がありません。むしろ3日目には風も強くなり、台風後に再度設置したカイトをまた取り込む羽目に。

気持ちだけ焦る中、何かできることは無いかと調べました。有機農薬であれば、収穫前でも散布して大丈夫で且つ雨が降っている中でも悪影響はなさそうだと分かり、急遽小雨の中、甘草を煮詰めたものと木酢液を合わせて散布しました。が、効果はなく。翌日最悪な状態に。

4日目、なんとサマークイーンが裂果し始めました。しかも雨なので、すぐそこにカビが生えます。マイナーな品種なので誰にも相談できなかったのですが、ある葡萄研究所さんの資料には「裂果はない」と書いてあったので完全に油断していました。

その勢いは全然止まらず、5日目には半分以上が裂果している状態に。「仕方ない、雨のなかでサマークイーンを先に収穫しよう。」と決めました。

ただ雨の中で、しかも裂果した粒を選定しながらの作業なので2-3日で取りきるのは不可能です。急遽市内の冷凍倉庫にご連絡し、数日間冷凍させてもらうことにしました。「冷蔵じゃなくて冷凍ですか」と3回も確認されました(笑)

苦肉の策ですが、醸造先とも相談して「今回は仕方ないね」となり、これを進めました。

そんな中、雨は全然止みません。止む気配もありません。雨の中、収穫を始めたのですが、5割ほどの裂果から7割ほどの裂果に進み、その選定は通常の5倍以上時間がかかりました。なにせ、取る量より捨てる量が多いのです。

1日2-3ケースしか取ることができず、それを毎日冷凍倉庫に運びました。

そんな中、8/22-23の2日間だけ日中は雨が止みそうだとのこと。意を決して、「この2日間で後回しにした藤稔を全て収穫だ。ボランティアにもいろいろ声掛けを!」と思ったのですが、高知県は県独自の緊急事態における時短要請を8/21から発出。SNSなどで幅広くボランティアへの声掛けもできない状況。泣きっ面にハチ。

どうしようか、早朝から深夜までヘッドライトつけて収穫か、と悩んでいましたが、以前にボランティアやってくれた方が丁度「手伝いましょうか」と言っていただき、大変助かりました。また中1の長男にも始めて「お願い」をして、1日働いてもらいました。ありがとうございます、皆様。感謝しかありません。

おかげで2日間で400kg以上を収穫し、無事に醸造所に持参できました。持参して、醸造のお手伝いをしているころ、ようやく2週間にもわたる長雨が終了。一年目でこんな目に合うとは流石に想像していませんでした。

その後は順調にサマークイーンを収穫。最後に雄宝を収穫して、今年の収穫全てが終わりました。1月から走り続けたぶどう栽培が一区切りできた瞬間でした。

苦労したサマークイーンの仕込み中の様子です

当初、ぶどうの枝が複雑に絡まっていたことや長時間を要したビニール張り、ヒヨドリ対策など、苦労は数え切れません。こちらについてもまたこのブログで紹介させてください。

終わった!乾杯!と行きたいですが、今後醸造・販売もありますし、既に来年に向けてぶどう管理の見直しや棚の修理がもう始まっています。全然休む間もなく、相変わらず毎日畑にいます。もちろん土日も関係なく。

晴耕雨読なんて嘘だなと分かりました。晴耕雨土駆です。でも充実しています。疲れた帰りに見る夕焼けはいつも綺麗です。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA